クリニックサイト運用の事例集・コラム
クリニック(医療機関)のWebサイト制作、「Web制作会社やAIが【法律チェック】するから安心」は本当か?
- クリニックサイト運用の事例集
目次
昨今、医療法(医療広告ガイドライン)や薬機法、景品表示法など、クリニックや病院のWebサイトに対する法規制は年々厳しさを増しています。
そんな中、Webサイト制作の依頼先を探していると「当社は医療広告の知識が豊富なので、すべて法的にチェックし、責任を持ちます」と謳うWeb制作会社に出会うことがあるかもしれません。さらに最近では、生成AIに原稿を読み込ませて「AIで医療広告ガイドラインのチェックを行っているので万全です!」とアピールする制作会社も増えています。
忙しい先生方にとって「丸投げできる」「最新のAIがチェックしているから安心」というのは非常に魅力的に聞こえますが、実はこのアピールには大きな落とし穴が潜んでいます。
確かにAIや制作会社のノウハウは便利なフィルターになりますが、それは単なる「精度の高い下書きチェック」に過ぎず、何かあったときに法的な責任を取ってくれるわけではありません。結局のところ、「業者が大丈夫だと言ったから」が「AIが大丈夫だと言ったから」に置き換わっただけで、クリニックが負うリスクの本質は何一つ変わっていないのです。
今回は、医療機関がWeb制作会社を選ぶ際に知っておくべき「法的責任とチェック体制の真実」について解説します。
1. 最終的な法的責任は「クリニック(広告主)」にある
大前提として、Webサイト上の表現がガイドライン違反や法律違反とみなされた場合、行政指導やペナルティの対象となるのは、制作会社でもAIでもなく「広告主であるクリニック(医師)」です。
制作会社が「責任を持ちます」と言ったり、「AIの太鼓判がある」と言ったりしても、法的な主体がクリニック側にある事実は変わりません(※薬機法では制作会社も処罰対象になるケースがありますが、クリニックが免責されるわけではありません)。万が一の際、「制作会社やAIが大丈夫だと言ったから」は社会的な言い訳にはならないのです。
2. 「法律のチェック」を業として行えるのは弁護士だけ
医療広告ガイドラインや関連法規の基本的な知識を持つWeb制作会社や、膨大なデータを学習したAIは、確かに存在します。しかし、「この表現は合法か、違法か」という個別具体的な法的判断を業として行えるのは、原則として弁護士のみです(弁護士法第72条の非弁行為の禁止)。
また、記載されている治療内容やリスクの説明が「医学的に正確か」を最終判断できるのは、医師である先生方しかいません。 つまり、弁護士資格のないWeb制作会社やAIが行えるのは、「明らかなNG表現(誇大広告や、詳細な説明のないビフォーアフター写真など)を事前に弾く、一次スクリーニング(機械的なフィルター)」までが限界なのです。
3. リスクを理解している「正しい制作会社」の選び方
では、どのようなWeb制作会社をパートナーに選ぶべきでしょうか。
それは、「自社の職能やツールの限界を理解し、正しいチェック体制を提案できる会社」です。
| チェックポイント | 避けるべき制作会社 | 信頼できる制作会社 |
| 責任の所在 | 「すべて法的に責任を持つ」「AIが判断するから丸投げでOK」と謳う | 「最終的な事実確認は先生にお願いする」と明言する |
| チェックの精度 | 制作会社独自の知識や、AIの出力結果だけで完結させようとする | 医療専門の弁護士や専門機関による監修プランを用意している |
| リスク管理 | メリットや耳障りの良いことしか言わない | 規制の厳しさを伝え、リスクを最小限にする提案をする |
まとめ:制作会社は「精度の高い壁打ち相手」として活用する
医療広告の知識を持ち、AIを適切に活用しているWeb制作会社は、決して無価値ではありません。むしろ、根拠のない「絶対安全」「日本一」といった明らかなNG表現や、ガイドライン違反のリスクを未然に防ぎ、適切な言い換えを提案してくれる「精度の高い一次フィルター」として非常に重宝します。
重要なのは、「一次チェックは制作会社(やAIツール)に任せ、最終的な医学的・法的な確認は医師や専門家(弁護士など)が行う」という適切な線引きと協力体制を築くことです。
クリニックの信頼とブランドを守るために、甘い言葉や「AI」というトレンドワードに安易に丸投げせず、リスク管理に誠実に向き合ってくれるWeb制作会社を選びましょう。

