クリニックサイト運用の事例集・コラム
「AIでクリニックサイトを診断したら改善点が20個も出てきた…全部やるべき?」~“気づきのリスト”を“実行計画”に変える医療サイト管理の話~
- クリニックサイト運用の事例集
目次
- 事例詳細:AI診断が生み出す「改善点の洪水」と、優先順位のない不安
- 技術・パフォーマンス系
- SEO・メタ情報系
- コンテンツ系
- 運用・体制系
- UX・デザイン系
- セキュリティ・信頼性系・医療広告関連
- 結論からお伝えすると「大丈夫です」。
- 優先順位が一切設けられていない
- 優先度をつけてもらっても、鵜呑みは危険
- AIの回答が正しいとは限らない
- 一般のWeb制作会社が行なう対応
- 基本、制作時や月額保守契約自体に入っていない(含まれていない)ことが多い
- 「言われたらやる」の受け身対応
- 改修一つひとつが都度課金
- AI生成の安価・サブスク型ホームページはそもそも対応不可
- Kurumi株式会社が行なっている(行なった)対応
- 影響度×工数のマトリクスによる優先順位づけ
- 「今すぐ直すべき壊れているもの」と「中長期の改善」の切り分け
- AIの提案を鵜呑みにせず、KPIから逆算した取捨選択
- 「やる必要のないもの」は、あえて「いじらない」
- 【実際の対応例】
- その後、どうなったか
近年、ChatGPTやClaudeなどのAIチャットにクリニックのホームページURLを渡し、「改善点を教えて」と診断させる院長先生・事務長様が増えています。数秒で20〜30個もの指摘がずらりと並び、「うちのサイトはこんなに問題だらけだったのか」とご不安になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
月額制のサポート・保守管理において、「毎月何を管理しているの?」「AIで済む時代に、何をしてくれるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。本コラムでは、AIによるサイト診断結果をどう扱うべきか、Kurumi株式会社が普段どのような管理を行い、他社とどう違うのかをご紹介します。
事例詳細:AI診断が生み出す「改善点の洪水」と、優先順位のない不安

AIにクリニックサイトの診断を依頼すると、以下のような項目が技術面からコンテンツ面まで幅広く、かつ大量に返ってきます。
「Core Web Vitals」「構造化データ」「canonicalタグ」…これだけ英語やカタカナがたっぷり並んでいると、それだけで「うっ」と身構えてしまいますよね。専門用語だらけのリストを見せられると、実際の深刻度以上に不安を感じてしまうのは、決して珍しいことではありません。
まずは一度、実際にどのような項目が挙がってくるのか見てみましょう。
技術・パフォーマンス系
- 画像の軽量化・次世代フォーマット化(WebP/AVIF)
- 表示速度の改善(Core Web Vitals:LCP/CLS/INPなど)
- モバイル対応・レスポンシブ崩れの修正(スマホからの予約導線を含む)
- 不要なJS/CSSの削減、キャッシュ設定
- SSL化・混在コンテンツの解消
- 404エラー・リンク切れの修正
- サイトマップ(XML)の生成・送信
SEO・メタ情報系
- ページタイトル・description(メタ情報)の見直し
- 見出しタグ(h1〜h3)の構造整理
- 構造化データ(JSON-LD)の追加(診療時間・住所・電話番号などの医療機関情報)
- canonicalタグの設定・重複コンテンツ対策
- alt属性(画像の代替テキスト)の追加
- 内部リンクの最適化(診療案内⇔予約ページ等の導線)
コンテンツ系
- 診療実績・症例数・更新日の明記
- コンテンツの網羅性・専門性の強化(E-E-A-T対策。特に医療系はGoogleが重視する領域)
- Web予約・お問い合わせ導線(CTA)の見直し
- 院長プロフィール・経歴・所属学会情報の充実
- よくある質問(初診の流れ・保険適用など)ページの追加
運用・体制系
- 診療時間・休診日変更時の更新運用の整備
- アクセス解析(GA4など)の導入・設定見直し
- Search Consoleの登録・エラー監視
- CMS・プラグインのバージョン管理
UX・デザイン系
- ナビゲーション・情報設計の見直し(初診・再診の動線分け等)
- Web予約フォームの入力項目・エラー表示の改善
- ボタン・リンクのタップしやすさ(モバイルからの電話発信・予約)
- 配色・コントラストの視認性改善(高齢の患者様への配慮)
セキュリティ・信頼性系・医療広告関連
- SSL証明書の更新確認
- プライバシーポリシー・特商法表記の整備
- Cookie同意バナーの設置(必要な場合)
- 医療広告ガイドラインに抵触する表現の有無
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結論からお伝えすると「大丈夫です」。
これだけの数と専門用語が並んでいても、実際にすぐ対応が必要なものはごく一部で、大半は緊急性の低い項目です。理由を一つずつご説明します。
優先順位が一切設けられていない
ここで注意したいのは、AIの診断結果には優先順位が一切設けられていないという点です。
「致命的な不具合」も「あれば尚可な改善」も同じ粒度・同じトーンで並んでしまうため、リストを見た方は「全部直さなければいけないのでは」と不安を煽られてしまいます。
優先度をつけてもらっても、鵜呑みは危険
最近では、「優先度付きで教えて」と指示すれば、AIが順位をつけて回答してくれることもあります。
しかし、そこで出てきた優先順位が、そのサイトにとって本当に正しい優先度とは限りません。
AIはあくまで外部から見える情報だけを基に判断しているにすぎず、「なぜその仕様になっているのか」という内部の事情までは把握できません。
あえてその仕様のままにしている理由がある、その部分は仕様上どうしても改修できない、あるいは改修すると他のプログラムと干渉(バッティング)してサイト全体に不具合が起きる、といった“中の事情”はAIには見えていないのです。
そのため、AIが提示する優先順位についても、そのまま鵜呑みにするのではなく、あくまで一つの参考情報として捉えていただくことが大切です。
AIの回答が正しいとは限らない
さらに気をつけたいのが、AIの診断結果や改修案そのものが、必ずしも正しいとは限らないという点です。
- AIが提示したコードやプログラムをそのまま入れてしまうと、既存の仕組みと衝突してサイトが壊れてしまうケースがあります。
- すでに「対応済み」の項目であっても、AIが正しく認識できず「未対応」と表示してしまい、不必要に不安を煽るケースもあります。
- 100%の対策が施されていない限り「未対応」と判定されてしまう傾向もあります。たとえば98%まで対策できていても、AIの目には「対策していない」項目として映ってしまうのです。
こうした特性を踏まえると、**AIの診断結果は「絶対的な正解」ではなく、「気づきを得るための一つの材料」**として扱うのが適切です。
しかし実際には、挙げられた項目の多くはすぐに来院数や予約数へ影響するようなものではなく、対応の緊急性が低いケースがほとんどです。
一度に20〜30個の改善点が出てくること自体は珍しくなく、それを全部同時に対応するのは現実的ではありません。
一般のWeb制作会社が行なう対応
※こちらはあくまでWeb業界における一般的な傾向であり、すべての制作会社様に当てはまるわけではありませんが、一般的なスポット契約(都度対応)や、AIで自動生成する安価なホームページ・サブスク型ホームページなどでは以下のようなケースが多く見受けられます。
基本、制作時や月額保守契約自体に入っていない(含まれていない)ことが多い
そもそも制作時点で、先述したような項目をすべて網羅している会社はまずありません。むしろオプションとして一つずつ積み重なっていき、結果としてお見積りが100万円以上になってしまうケースも珍しくありません。
また、制作時のみの契約関係の場合は、納品をもって関係が完了しており、公開後の保守・改善提案を継続的に受けられる契約にはなっていないケースが一般的です。
そのため、AI診断で改善点が見つかっても、日常的に相談できる窓口自体がないという状況も珍しくありません。
「言われたらやる」の受け身対応
診断結果を見せても、「では見積もりします」という流れになり、どこから手をつけるべきかの整理まではしてもらえないことが一般的です。
改修一つひとつが都度課金
メタ情報の修正、構造化データの追加、画像の軽量化…といった項目ごとに個別で見積もりが発生し、まとめて対応してもらえるケースは多くありません。
AI生成の安価・サブスク型ホームページはそもそも対応不可
テンプレートの範囲内でしか編集できない仕組みのため、Web予約フォームの改修や医療機関特有の構造化データの追加など、コードレベルの改修そのものに対応していない(対応できない)ケースも見受けられます。
Kurumi株式会社が行なっている(行なった)対応
Kurumi株式会社の月額制サポートでは、AI診断結果のような「気づきのリスト」を、そのまま鵜呑みにするのではなく、クリニック経営にとって意味のある「実行計画」に変換する作業を行っています。

影響度×工数のマトリクスによる優先順位づけ
すべての項目を並列に扱うのではなく、「影響度は大きいが工数は中程度(例:Web予約フォームの改善)」「影響度は中程度だが工数は小さい(例:構造化データの追加)」といった軸で整理し、着手順を明確にします。
「今すぐ直すべき壊れているもの」と「中長期の改善」の切り分け
リンク切れ・エラー・SSL関連の問題、予約フォームの不具合など、放置すると来院機会の損失に直結するものは即対応。一方、コンテンツ強化や運用体制の整備など、時間をかけて育てるべき項目は中長期の計画として別枠で管理します。
AIの提案を鵜呑みにせず、KPIから逆算した取捨選択
AIが挙げる改善点はあくまで「気づきのきっかけ」と捉え、すべてを実行するのではなく、来院数・Web予約数・地域内での認知度など、クリニック様の事業目標に直結する項目から優先的に着手するようご提案しています。
「やる必要のないもの」は、あえて「いじらない」
優先順位づけは「何をやるか」だけでなく、「何をやらないか」を決める作業でもあります。事業への影響が小さい項目は無理に手を加えず、現状維持を選択します。
院長先生が有料でも対応を希望される場合はご要望として検討いたしますが、改修によって予約フォームの不具合や表示崩れなど、既存の動作に支障をきたすリスクがコスト・効果を上回ると判断した場合には、対応をお断りすることもございます。
医療機関のサイトは患者様の予約導線に直結するため、「触らない方が安全」という選択肢も、管理の一部と考えているためです。
【実際の対応例】
あるクリニック様がAIにサイト診断を依頼したところ、28項目もの改善点が提示され、「全部直さないといけないのか」とご不安になってご相談いただきました。
Kurumi株式会社にて内容を精査したところ、緊急対応が必要なものは「予約フォームのエラー表示の不具合」と「診療時間のメタ情報の誤り」の2点のみ。
残る26項目のうち、15項目は作業工数やコスト、改修に伴うリスクを踏まえて「対応不要」と判断し、あえて手を加えないことをご提案しました。
残りの項目についても中長期的に段階対応で問題ないと判断し、優先順位を可視化した上で、月額費用の範囲内で緊急度の高い項目から着手いたしました。
その後、どうなったか
AI診断結果をそのまま実行に移すのではなく、影響度と工数で整理したことで、クリニック様は「何から手をつければいいか分からない」というご不安から解放されました。
不要な改修に費用をかけることなく、また予約フォームなど患者様に直結する箇所を不用意に触ることなく、安全なサイト運用が実現できております。

